ディフェリンゲルの最大の問題点 副作用について

ディフェリンゲルの最大の問題点は副作用が生じることです。
しかし、皮膚科医にとっては、この副作用という呼び名は抵抗があります。
なぜなら、通常「医薬品の使用に伴って生じた治療目的に沿わない作用全般」のことを副作用と呼びます。が、ディフェリンゲルを使用して発生する症状は、薬の効果が現れてくることによって出てくる症状、つまり治療目的であるニキビの改善に沿った症状だからです。
そのため、皮膚科医の間では、副作用とは呼ばずに随伴症状と呼ぶことが多くあります。

ディフェリンゲルの副作用の実際

この副作用は、全体の80%の患者さんに認められます。
具体的な症状は、赤み、乾燥、落屑、皮膚刺激(ぴりぴり感、かゆみ)などが挙げられます。

副作用に対する皮膚科医の考え

ニキビをきれいにしたいという希望をもって来院したのに、顔に新たな症状が出てしまうのはストレス以外の何物でもありません。

皮膚科医は「今後、長期的にニキビが新生しないようになること」「(ずっと残ってしまう)ニキビ跡を作らないこと」、そして「そのために1ヶ月の間、副作用を我慢していただくこと」が患者さんにメリットがあると考えています。

ところが、副作用のストレスによって、治療を完全に中止してしまう患者さんもいらっしゃるのが現実です。
そのような患者さんは、再び市販のニキビ用薬品や化粧品などを買い求めたり、エステの施術を受けるなど、堂々めぐりとなってしてしまい、合理的な解決ができないことが少なくありません。

ディフェリンは、現在の日本の皮膚科医療でもっとも効果的なニキビ治療薬です。(但し、保険治療に限ります)
副作用を乗り越え、ニキビを克服していただきたいと思います。
もちろん、心配になったらいつでも医師と相談するようにしましょう。

なぜ副作用がでるのか

一つ一つの副作用の解説は後述しますが、どの作用もこの薬が効いてきているからこそ出る症状であるということを理解して欲しいと思います。(つまり、本来狙った効果とは別の作用が出現してしまう“副作用”とは少し意味合いが異なっているのです。)

繰り返しますが、この副作用は「ニキビを治す」という目的の手前の通らなければいけない道なのです。そのため、通常は完全に治療中止にはせず、用法用量を変更して副作用の軽減を図りながら、治療を続けていくことが一般的です。
そして、「これを乗り越えた先にニキビの改善が待っている」と考えていただければと思います。

副作用の目安

通常、1ヶ月ほどで副作用は落ち着いてきますので、副作用は必ず落ち着くと信じて、あきらめずぜひ治療を続けてください。
(副作用の程度によって、担当医が治療を一時中断する場合があります。その場合は必ず医師の指導に従ってください)
*副作用が上記の症状ではなく、アレルギー症状であった場合、本剤による治療は中止となります。

ディフェリンゲルは患者さんが毎日ご自身で塗る薬です。
まず患者さん自身がこれらの副作用についてしっかりとした知識をもつことが、必要以上の不安を取り除くことにつながります。

治療開始1ヵ月後の副作用の様子

初診時と治療開始1ヵ月後の状態。ディフェリンゲルの副作用として赤みと乾燥が出現しています。まだニキビの減少は見られていないので、この時期が患者さんにとって一番の頑張りどころです。今後、副作用の緩解とともにニキビの減少が予測されます。

ディフェリンゲルの具体的な副作用について

ディフェリンによる副作用は主に5つ

  1. 乾燥
  2. ひりひり感
  3. 落屑(らくせつ:皮膚が剥けてくること)
  4. 紅斑(赤み)
  5. かゆみ

以上、5つの症状が挙げられ、たいていはこれらが組み合わさって出現します。

なぜ副作用がでるのか症状を理解しましょう

ディフェリンゲルがニキビを治すのは、角質の生成を抑制することで異常角化による毛穴の詰まりを防ぐという薬理作用のためです。しかし、角質の生成を抑制すると角質層は薄くなり、様々な影響が生じてしまうのです。

なぜなら、もともと角質層は体表の最も外側にある層で、皮膚の乾燥を防いだり、外部の刺激から体を守るために存在しています。それが薄くなってしまうのですから、バリア機能が損なわれ、お肌が乾燥しやすくなりますし、刺激にも敏感になってしまいます。

全体の80%の患者さんに副作用が生じ、さらに各症状が一定の割合で発現します。
ディフェリンゲルの副作用として、かさつき、赤み、落屑が生じますが、通常1ヶ月程度でこの症状は落ち着いてきます。

ディフェリンゲルの副作用として、かさつき、赤み、落屑が生じますが、通常1ヶ月程度でこの症状は落ち着いてきます。

乾燥、カサつき 全体の56.1%に発生

本来角質層は水分を保持し、乾燥から防ぐ役割を持っているため、角質層が薄くなることによって肌が乾燥したり、かさつくことがあります。

ぴりぴりする痛み、不快感、熱感 全体の47.6%に発生

角質層は肌を守る役割をもちますが、角質層が薄くなることによって刺激に対して敏感になり、痒み、痛みなどの不快感が生ずることがあります。
また化粧水などがしみるなどの症状が出ることがあります。
副作用の落ち着くまではいつも使用している化粧品でもしみることがあります。
これも皮膚を保護する角質層が薄くなっているためで、できるだけ刺激の少ない化粧品を使用していただくことをお勧めします。
皮膚科でも保険適用にて刺激の少ない保湿薬を処方していますので、お使いの化粧品がしみる場合は医師に相談してみてください。

落屑(らくせつ)全体の33.5%に発生

日焼け後のように皮膚がぽろぽろと剥けてくる現象です。
角質層が薄くなったことによってターンオーバーが促進され、新しい角質層と通常より早く入れ替わります。
大切なのは無理に剥がさずに、自然に剥がれ落ちるのを待つことです。
ご自分で掻いたり、無理矢理に剥かないようにしてください。
(無理に剥がしますと、炎症による色素沈着を引き起こすことがあります)

赤み 全体の21.9%に発生

角質層が薄くなることによって、表皮が薄くなり、真皮層にある毛細血管が透けて見えること、また炎症によって毛細血管が拡張することが原因です。
赤みが強いようであれば、用法を変えることで患者さんが気にならない程度まで症状を落ち着かせてから再開することもあります。

痒み 全体の13.2%に発生

角質層は肌を守る役割をもちますが、角質層が薄くなることによって外部からの刺激に対して、痒み、痛みなどの不快感が生ずることがあります。
角質層が薄くなっているので極力、引っ掻いたりしないようにしてください。

副作用がでた時の対処法について

使用量や使用頻度を守っていますか?

ニキビのある部分へ大量に塗布していたり、1日2回など誤った使用法によって副作用が出ていることもあります。

保湿剤の使用

角質が薄くなり、乾燥しやすい状態となっていますので、保湿効果の高いクリームなどを塗布してください。
角質層が薄くなっているので、できるだけ低刺激でコメドを誘発しないものがよいでしょう。

使用法を変えて、副作用が弱まるのを待ちます

*自己判断せずに、必ず医師の指示に従って行ってください。

1)塗布量や塗布面積を少なくします。

患部(ニキビ)のみに塗るなどして、慣れてきたら、塗布面積を広げます。

2)使用頻度を減らす(2日に1回又はそれ以下の頻度に変更)
刺激に慣れてきたら、1日1回に戻します。

3)短期間ディフェリンの使用を中止し、数日間保湿剤の使用で様子をみます。