医療関係者のみなさまへ

医師・コメディカルスタッフの皆様へ

2008年10月21日、ディフェリンゲルが保険薬として認可され、徐々に市民権を得ているようです。
そして、今後のさらなる認知度の向上によって、一般皮膚科のニキビ治療の受診率が高くなると言われております。
そうすると当然、一般皮膚科医が(時には内科医も)尋常性ざ瘡の第一選択薬であるディフェリンを処方する機会が増えるでしょう。

審美治療的な側面も持つニキビ治療は他の疾患とは違った認識、理解が要求されます。
特にディフェリンゲルによる治療は、その治療過程において角質層が浅薄化し、副作用として皮膚刺激のみならず、紅斑、乾燥、落屑などの外見的な変化が発現します。
この傾向は治療の経過とともに徐々に緩解していきますが、当初の段階ではまだ面皰数の明らかな減少傾向が見られないために、患者さんの治療不信、治療中断につながりがちです。

もともと「お顔をきれいにしたい」と来院された患者さんの目的と相反する結果が生じるのですから、患者さんのモチベーションが低下してしまうのも当然のことでしょう。
しかしながら、本来、これらの副作用は薬理学的に当然の症状であり、本剤によるざ瘡治癒の第一歩と考えてもまったく差し支えないものなのです。(そのため、私は普段は“随伴症状”という呼び方をしています)

この第一段階で患者さんを挫折させないためにも、医療従事者が随伴症状に対する正しい知識を持って、患者さんにしっかりと説明することが重要になります。
副作用についての説明と同意が不十分だったことで、ニキビ治癒の機会損失-つまり、治せるニキビが治療されずに終わってしまうことも少なからずあるのではないか。と懸念しております。
美容皮膚科医療において「たかがニキビ1個くらいで・・・」という認識では患者さんとラポールの関係を築くことはできません。

皮膚科医はニキビ治療に際して、患者さんの心的ストレスだけでなく、美容に対する高い認識も必要とされます。患者さんの悩みや不安を理解すること、時に共感し、一緒にニキビを治していこうという気持ちを患者さんにはっきりと示すことが、副作用を乗り越えて治療を継続していくために重要なことだと思っています。
そのような考えのもと、ニキビに悩む患者さんの笑顔のために日々の治療に取り組んでおります。

しかし、現実にはニキビに悩む方の皮膚科受診率は僅か10%程度です。残りの90%の方は、市販薬、エステ、民間療法、化粧品などに頼ったり、放置しているのが現状なのです。
若い患者さんにとって、ニキビにかかる金銭的負担は決して軽いものではありません。
そのせいか、ニキビ市場は美容ビジネスにとって、欠くことのできない大きなマーケットになっているようです。
そうした中、ディフェリンの保険適用によって、医療によるニキビ治療の費用対効果は他とくらべて群を抜くものになりました。

結果の出る治療を安く提供できるようになれば、ニキビを悪化させて瘢痕化してしまう症例も減っていくでしょう。
ニキビ治療が新しい時代に入ったと言っても大げさではないのです。
ですから、もっともっと積極的に医師がニキビ治療に取り組み、成果を出し、さらに情報発信をして、患者さんの受診率を上げていかなければいけないと思うのです。
それがこのサイトを立ち上げた理念であり、私がニキビ治療をしていく上での信条でもあります。

本サイトは、患者さん向けの言葉で書いておりますが、まだディフェリン処方の実績の少ない医院や医療関係者の方にもご覧頂ければ幸いです。
また本サイトをご覧いただいた先生方のご意見やご感想、ご指導ご鞭撻等頂ければ、幸甚です。
何卒よろしくお願い申し上げます。

かくた皮膚科クリニック
院長 角田美英拝